第1回 健康になることは、自分の人生を取り戻すこと
朝起きる。
眠いけれど、仕事に行かなければならない。
朝ごはんを食べる時間もない。
昼休みもゆっくりできない。
夜は疲れ切って帰ってきて、簡単なもので済ませる。
本当はもう休みたい。
でも、まだ仕事がある。
家族のこともしなければならない。
人に頼まれたことも断れない。
「もう少し頑張らなきゃ」
そうやって、自分の身体を後回しにして毎日を過ごしている。
私は、そんな生き方をしている人に、
一度、自分の人生について考えてみてほしいと思っています。
私たちは、何のために生まれてきたのでしょう。
仕事をするためでしょうか。
誰かの期待に応えるためでしょうか。
人に迷惑をかけないようにするためでしょうか。
もちろん、仕事も大切です。
家族も大切です。
人とのつながりも大切です。
でも、そのために自分の身体を犠牲にしてしまったら、
いったい何のために生きているのでしょう。
私は、健康について考えるとき、
「病気にならないために健康になる」
というところだけで終わらせたくありません。
もっと大きなところで、
「生きる歓びを感じるために、身体を整える」
と考えたいのです。
身体は、人生を生きるための器
私たちは、頭で考えます。
「こうしなきゃ」
「こうしたほうがいい」
「嫌われないようにしよう」
「迷惑をかけないようにしよう」
「もっと頑張らなきゃ」
そうやって、毎日たくさんのことを考えながら生きています。
でも、その考えを実際にこの世界で体験しているのは、私たちの身体です。
嬉しいときも身体で感じる。
悲しいときも身体で感じる。
美味しいものを食べたときも身体で感じる。
好きな人に触れたときも身体で感じる。
太陽の光を浴びたときも、
風を感じたときも、
料理を作っているときも、
「幸せだな」と感じるのは、この身体です。
だから私は、
身体を大切にすることは、人生を大切にすること
だと思っています。
健康は「我慢して長生きすること」ではない
健康という言葉を聞くと、
「食べたいものを我慢する」
「運動しなければいけない」
「お酒を控えなければいけない」
「ちゃんと栄養を取らなければいけない」
そんな「やらなければならないこと」を思い浮かべる人もいると思います。
でも、私はそこから少し見方を変えて、
健康になるために我慢するのではなく、
自分の人生を楽しむために、身体を整える。
美味しいものを美味しいと感じる。
朝、気持ちよく起きる。
自分の好きなことをする体力がある。
会いたい人に会いに行く。
行きたい場所へ行く。
料理を楽しむ。
笑う。
恋をする。
何かを創る。
誰かを愛する。
そういうことを、思いきり味わうために身体がある。
私は、そんなふうに健康を考えたいのです。
自分の身体を大切にすると、人生の見え方が変わる
人間経験が未熟だった頃の私は、
「外側を変えれば人生が変わる」
と思っていたところがありました。
仕事を変えたら。
環境を変えたら。
付き合う人が変わったら。
夢を叶えたら。
人生が変わる。
でも、今は少し違う見方をしています。
まず、自分の内側を整える。
自分の身体を大切にする。
自分の感情を感じる。
自分が本当に望んでいることを見る。
そこから、自分の人生を選び直していく。
私は、内側と外側は比例していると思っています。
身体の中に何を入れるのか。
どんな生活をするのか。
どんな言葉を自分にかけるのか。
何を我慢しているのか。
何を喜んでいるのか。
そういう一つひとつが、自分の人生に影響していく。
だからこそ、身体を整えることは、
単なる健康管理ではない。
自分の人生を、自分の手に取り戻していくことなのです。
私自身が体験したこと
私は料理教室を開くと決めたとき、
まだ何も決まっていませんでした。
でも、
「私は料理教室を始める」と決めた。
そうしたら、
不動産屋さんとつながり、
建築家とつながり、
室内設備の業者さんとつながり、
雑誌の編集者さんとつながり、
そこからまた次のご縁がつながっていきました。
自分の想いに忠実に動き始めると、
現実のほうが動き始める。
私は、その体験を何度もしてきました。
だから、
「自分の人生を生きる」
ということは、
大きなことを成し遂げることではないと思っています。
まず、
「私はどうしたい?」
と自分に聞くこと。
そして、
自分の身体も、
自分の気持ちも、
自分の人生も、
大切にすること。
そこから始まるのだと思っています。
身体を犠牲にする生き方から、自律して生きる人生へ
人に気を使いすぎる。
嫌と言えない。
自分より人を優先する。
休みたいのに休まない。
食べたいものを我慢する。
眠いのに頑張る。
疲れているのに「大丈夫」と言う。
そんな小さな我慢を、私たちは毎日の中でたくさんしています。
そして、身体は私たちがしていることを受け取っています。
病気や強い不調が起きたとき、
必要な医療を受けることも大切です。
そのうえで、
「私は今、自分の身体をちゃんと大切にしているだろうか」
と立ち止まって、
自分の生き方を見直すきっかけにできると思っています。
身体を大切にする。
食べるものを大切にする。
眠ることを大切にする。
休むことを大切にする。
自分の感情を大切にする。
自分の「こうしたい」を大切にする。
それは、自分勝手になることではありません。
自分の人生に、自分で責任を持つことです。
私は、
犠牲的に生きる人生から、
自律して積極的に生きる人生へ。
ここへシフトしていきたい。
そのために、まず身体創りから始めてみるのです。
食べるものを変える。
身体の仕組みを知る。
自分の身体の声を聞く。
そして、
「私は何のために生きたいのか」
をもう一度考えてみる。
健康とは、
ただ長く生きることではない。
自分の人生を、
自分で味わい尽くすための身体をつくること。
私はそれが、
「生きる歓び」につながっていくと思っています。
次回からは、
その身体をつくっている「食べるもの」について、
管理栄養士の視点から一つずつ紐解いていきます。