第3回 食べたものは、どうやって私の身体になるのか
毎日、私たちはごはんを食べています。
朝ごはんを食べて、
仕事をして、
昼ごはんを食べて、
夜になればまたごはんを食べる。
そんな毎日の中で、
「今食べたものが、どうやって私の身体になるんだろう?」
と考えることは、あまりないかもしれません。
口に入れた食べ物が、
そのまま身体の一部になるわけではありません。
食べ物は身体の中を旅しながら、
細かく分解され、吸収され、運ばれ、
身体の中で使われていきます。
つまり、
食べることと、
身体が栄養を使えることは、
同じではないのです。
食べたものが身体になるまでには、
消化 → 吸収 → 運搬 → 利用
という、いくつもの過程があります。
今日は、
この「食べ物が身体になるまでの旅」を、
一緒に見ていきましょう。
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食べ物は、身体の中を旅している
まず、食べ物は口から入ります。
そして、
口
↓
食道
↓
胃
↓
十二指腸
↓
小腸
↓
血液・リンパ
↓
肝臓
↓
全身の細胞
という道を進んでいきます。
その途中で、食べ物は少しずつ姿を変えていきます。
そして、
身体に必要なものが吸収されたあと、
残ったものは大腸へ向かい、
最後は便として身体の外へ出ていきます。
私たちが一口のごはんを食べると、
身体の中ではこんな旅が始まっているのです。
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① 口――消化は、ここから始まっている
食べ物は、まず口に入ります。
歯で噛むことで、食べ物を細かくします。
そして、唾液と混ざります。
ここで大切なのが、
「噛むこと」
です。
噛むことは、
食べ物を細かくするだけではありません。
食べ物をしっかり唾液と混ぜることで、
その後の消化を助けています。
消化というと、
「胃に入ってから始まる」
と思っている人も多いかもしれません。
でも、実際には口に入れた瞬間から、
消化のプロセスは始まっています。
だから、食事の時間は、
「何を食べるか」
だけではなく、
「どう食べるか」
も大切なのです。
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② 食道――身体が、食べ物を運んでくれる
飲み込んだ食べ物は、食道を通って胃へ向かいます。
食道では、
蠕動運動という身体の動きによって、
食べ物が胃へと運ばれていきます。
私たちは、
「今、食べ物を胃まで運ぼう」
と意識していません。
それでも身体は、
食べたものを次の場所へ運んでくれています。
食べるという行為の裏側では、
私たちが意識していないところで、
身体がたくさんの仕事をしているのです。
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③ 胃――食べ物を混ぜながら、さらに分解する
胃に入ると、胃酸や消化酵素が働きます。
胃は食べ物を胃液と混ぜながら、
特にたんぱく質の消化を進めていきます。
そして、
食べ物を一度に全部小腸へ送るのではなく、
少しずつ十二指腸へ送り出します。
「食べたら終わり」ではなく、
食べたあとも身体は、
混ぜる、分解する、送り出す
という仕事を続けています。
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④ 十二指腸――消化液が集まる場所
胃から送られてきた食べ物は、
十二指腸へ入ります。
ここでは、胆汁や膵液が加わります。
胆汁は脂質の消化を助けます。
そして膵液には、
たんぱく質、脂質、糖質などを分解する消化酵素が含まれています。
ここで食べ物は、
さらに細かく分解されていきます。
身体がそのままでは利用しにくい大きな食べ物を、
身体が利用できる小さな形へと変えていくのです。
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⑤ 小腸――栄養素を身体の中へ取り込む
そして、小腸へ進みます。
ここは、食べたものを身体の中へ取り込むための、
とても重要な場所です。
小腸の内側には、
ひだや小さな突起がたくさんあります。
この構造によって、
栄養素を効率よく吸収できるようになっています。
たとえば、
糖質は、最終的にブドウ糖などの単糖類へ。
たんぱく質は、アミノ酸などへ。
脂質は、脂肪酸やモノグリセリドなどへ。
食べ物は、
身体が利用できる形まで細かく分解されてから、
吸収されていきます。
ここで初めて、
「食べ物」が
「身体が使える栄養素」へと変わっていくのです。
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⑥ 吸収された栄養素は、身体の中を運ばれる
小腸から吸収された栄養素は、
血液やリンパ液によって運ばれます。
つまり、
食べたものが小腸まで届いたからといって、
それで終わりではありません。
吸収された栄養素は、
身体の中を移動し、
「ここで使おう」
という場所へ届けられていきます。
私たちの身体は、
食べる
→ 分解する
→ 吸収する
→ 運ぶ
という流れを毎日繰り返しています。
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⑦ 肝臓――栄養素を受け取り、身体のために整える
小腸から吸収された栄養素の多くは、
まず肝臓へ運ばれます。
肝臓では、
栄養素を処理したり、
貯蔵したり、
身体が利用しやすい形にしたりします。
食べたものが身体の中でどう使われていくのかを考えるとき、
肝臓はとても重要な場所です。
私たちは毎日いろいろなものを食べています。
その一つひとつを、
身体は受け取り、
整理し、
必要な場所へつないでくれています。
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⑧ 全身の細胞――ここで、身体の力になる
そして栄養素は、
血液などによって全身の細胞へ届けられます。
ここで初めて、
食べたものが、
私たちの身体を動かす力になっていきます。
炭水化物は、身体を動かすためのエネルギー源になります。
たんぱく質は、筋肉や臓器など、身体をつくる材料になります。
脂質もエネルギー源となり、細胞膜など身体の構成に関わっています。
ビタミンやミネラルも、身体のさまざまな働きを支えています。
つまり、私たちが何気なく食べている一食の中には、
身体を動かすもの。
身体をつくるもの。
身体の働きを支えるもの。
さまざまな役割を持つ栄養素が含まれています。
そして、
それらを身体は毎日使いながら、
私たちの生命を支えています。
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⑨ 大腸――残ったものを整える
小腸で栄養素が吸収されたあと、
残ったものは大腸へ向かいます。
大腸では、水分や電解質の吸収が行われます。
また、大腸にはたくさんの腸内細菌が存在していて、
食べ物の残りなどを利用しながら活動しています。
身体は、
「必要なものを取り入れる」
だけではありません。
必要なものを吸収し、
身体の中で利用し、
残ったものを整えていく。
そんな働きもしています。
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⑩ 最後は、身体の外へ
そして最後に、
残ったものは便として身体の外へ排出されます。
こうして、
取り入れる
↓
消化する
↓
吸収する
↓
運ぶ
↓
使う
↓
出す
という一つの循環が完成します。
身体は毎日、この循環を繰り返しています。
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「何を食べるか」だけでは、身体は語れない
ここまで見てくると、ひとつ大切なことが見えてきます。
それは、
「何を食べるか」だけではなく、
「身体がどう受け取っているか」
も大切だということです。
たとえば、
栄養価の高い食材を食べたとしても、
消化がうまく進まなければ、
吸収が十分に行われなければ、
そして身体の中でうまく利用されなければ、
その栄養を十分に生かすことはできません。
だから私は、
「何を食べれば健康になれる?」
ということだけを考えるのではなく、
「私は今、身体でちゃんと受け取れているかな?」
という視点も持ってほしいと思っています。
食べる。
消化する。
吸収する。
運ぶ。
使う。
出す。
この一連の流れがあって、
初めて食べ物は私たちの身体の中で生かされていきます。
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食べたものは、「私」になっていく
ここで、
もう一つ考えて頂きたいことがあります。
食べ物は、
口に入れた瞬間に終わるものではありません。
消化され、
吸収され、
身体の中を巡り、
そして、
私たちの身体をつくる材料として使われていきます。
つまり、
食べたものと、
今ここにいる「私」は、別々ではないのです。
今日食べたものは、
今日の身体を支え、
これからの身体をつくっていく。
だから食事は、
単に「お腹を満たすこと」ではありません。
自分の身体に、
何を届けるのかを選ぶことでもあるのです。
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ごはんは、「これからの私」をつくる
これからは、料理をするとき、
「何を食べるか」
だけではなく、
「この身体で、これから何をしたいのか」
を考えて頂きたいと思っています。
元気に働きたい。
旅行に行きたい。
好きな人と笑いたい。
料理を楽しみたい。
新しいことを始めたい。
大切な人と一緒に過ごしたい。
やってみたかったことに挑戦したい。
そんな未来を生きるために、
私たちはこの身体を使っています。
だから、
今日のごはんは、
今日のお腹を満たすだけではなく、
これからの自分を支えるものでもある。
そう考えると、
毎日の食事が少し違って見えてきませんか。
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「ちゃんと食べなきゃ」ではなく、「私はどうしたい?」
私たちはつい、
「身体のために、ちゃんと食べなくちゃ」
と思ってしまいます。
でも、私は少し違う捉え方をしたいと思っています。
「ちゃんとしなければいけない」から、
禁止を増やして食べるのではなく、
「私は私を大切にしたい」から、
体が喜ぶ食べものを選ぶ。
この違いは、とても大きいと思うのです。
誰かに言われたから食べる。
健康のためだから仕方なく食べる。
痩せるためだけに食べる。
我慢して食べる。
情報を鵜呑みにして禁止食材を増やす。
そんな「しなければならない食事」から、
「私はどうしたい?」
という自分の感覚を大切にする食事へ。
食事を通して、
自分の身体の声を聴く。
自分の感覚を感じる。
そして、自分で選ぶ。
それは、栄養を学ぶことだけではありません。
自分の人生を、自分で選んでいくこと
にもつながっていくのだと思います。
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身体は、あなたの人生を支えている
身体は、
「もっと頑張りなさい」
と言っているのではありません。
今日も呼吸をして、
食べたものを消化して、
必要な栄養を吸収して、
身体をつくり、
エネルギーを生み出し、
あなたがあなたの人生を
生きられるように働いてくれています。
当たり前のように動いているけれど、
その一つひとつが、
身体が私たちの命を支えてくれている証拠です。
だからこそ、
身体を「思い通りに動かすもの」として扱うのではなく、
一緒に人生を生きてくれている存在
として、大切にしてみてほしいのです。
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今日の小さな実践
今日の食事では、
「これは身体にいいかな?」
だけではなく、
こんな問いを自分に投げかけてみてください。
「私は、この身体で何をしたい?」
そして、
「そのために、今日の私に何を食べさせてあげたい?」
と考えてみる。
難しい栄養計算をする必要はありません。
いつもの食事を前にして、
「今日も私の身体を支えてくれてありがとう」
と、少しだけ身体を意識して食べてみる。
よく噛んでみる。
味を感じてみる。
食べたあと、
自分の身体がどう感じているかを感じてみる。
それだけでもいいのです。
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食べることは、生きること
食べたものは、
消化され、
吸収され、
身体の中を巡り、
私たちの生命を支えていきます。
つまり私たちは、
毎日の食事を通して、
少しずつ自分自身をつくっている。
だから私は、
食べることをもっと大切にしてほしいのです。
でも、それは、
「健康のために正しく食べなさい」
ということではありません。
あなたが、あなたの人生を生きるために。
その人生を楽しむ身体を、
自分自身で大切にしてほしいのです。
健康になることが、人生の目的なのではありません。
その身体で、
笑って、
楽しんで、
愛して、
感じて、
やりたいことをして、
自分の人生を味わっていく。
そのために身体があります。
そして、その身体を毎日つくっているのが、
私たちの「食べる」という行為です。
食べることは、未来の自分とつながること。
そして、
自分を大切にする食事は、
自分の人生を大切にすること。
今日の一食から、
もう一度、
自分の身体の声を聴いてみませんか。
食べることを通して、
自分の身体と仲直りする。
自分の身体を味方にする。
そして、
その身体と一緒に、
自分の人生を味わっていく。
それが、私が伝えたい「食べる」という習慣です。